私たちの身体は、エネルギーを作りだすために、燃料と酸素が必要です。
燃料は「三代栄養素」と呼ばれる糖質・たんぱく質・脂質です。
燃料を無駄なくエネルギーに換え、機能を円滑にするために、ビタミンやミネラル(無機質)が必要です。
また、身体の元である細胞を作るためにも、これらの栄養素が必要です。
作り出されたエネルギー量は 「カロリー」という単位であらわされます。
通常使われる1キロカロリー(kcal)とは 水1リットルを摂氏1度上昇させるために必要なエネルギー量を示します。
<主な食品のエネルギー量> (5訂食品成分表より) 単位Kcal
食品 |
量 |
Kcal |
食品 |
量 |
Kcal |
ごはん |
110g |
184 |
牛乳 |
200cc |
134 |
パ ン |
1枚(60g) |
131 |
ロースハム |
1枚(15g) |
29 |
ジャガ芋 |
1個(140g) |
106 |
木綿豆腐 |
100g |
72 |
砂糖 |
大匙1杯(10g) |
38 |
納豆 |
1個(50g) |
100 |
植物油 |
大匙1杯(14g) |
129 |
トマト |
1個(160g) |
30 |
小麦粉 |
大匙1杯(8g) |
29 |
ナス |
1本(55g) |
12 |
卵 |
1個(50g) |
76 |
人参 |
1本(120g) |
44 |
焼き竹輪 |
1本(30g) |
36 |
ほうれん草 |
100g |
20 |
サンマ |
1切(60g) |
186 |
レタス |
1玉(320g) |
38 |
イワシ |
1尾(60g) |
130 |
玉葱 |
1個(90g) |
70 |
カレイ |
1枚(150g) |
143 |
きゅり |
1本(80g) |
11 |
サバ |
1切(70g) |
141 |
シイタケ |
100g |
18 |
牛もも肉 |
1枚(50g) |
123 |
こんにゃく |
1丁(200g) |
14 |
豚バラ肉 |
1枚(50g) |
193 |
ワカメ |
大さじ1杯(3g) |
4 |
豚ヒレ |
1枚(50g) |
58 |
バナナ |
1本(100g) |
86 |
豚もも |
1枚(50g) |
74 |
柿 |
1個(170g) |
102 |
鶏胸肉 |
1枚(40g) |
76 |
鶏ささみ |
1本(40g) |
46 |
食品の中に含まれる熱量源となる「糖質・脂質・たんぱく質」は、それぞれ体内でエネルギーを産みだします。
エネルギーは、主に細胞内での酸化反応によってエネルギーの貯蔵物質として貯えられ、体温を保つことをはじめあらゆるエネルギーが必要な時に使われます。
糖質は、澱粉として摂ることが一番多く、二番目に多いのが砂糖です。
消化してグルコース(ブドウ糖)にまで分解されて、細胞内にとり込まれます。
糖質は、今すぐ使われるエネルギー以外は、肝臓や筋肉に 「グリコーゲン」 として貯蔵され、活動時や運動などエネルギーが必要に応じて使われます。
グリコーゲンとして貯えきれない糖質は、体脂肪として貯えられますから、炭水化物の過剰摂取は肥満の原因となります。
炭水化物ダイエットはここからきているわけです。
糖質をエネルギーに変えるためには ビタミンB1 をはじめ各種のビタミンの働きが必要とされますので食べ物のバランスがとても重要な事がお解り頂けると思います。
脂肪は、植物油・バター・肉脂など ほとんどが 「中性脂肪」 の形で体内に入ってきます。
血液に運ばれて脂肪細胞に貯えられた脂肪は、中性脂肪に分解され脂肪酸とグリセロールになります。
脂肪が分解してエネルギーに変わるためには、糖質が必要になります。
エネルギー源として利用される以外の余った脂肪は、脂肪細胞に貯えられます。
脂肪がエネルギーに効率よく変わるためには、ビタミンB2 が十分にあることが必要です。
炭水化物と同じように、過剰摂取やバランスの悪い摂取が肥満の原因になります。
また、脂質は細胞膜の原料として使われます。
摂取された蛋白質は、アミノ酸に分解され 酸化によってエネルギー源になるか、身体のたんぱく質を作る働きをするか、糖や脂肪に変えられるか、に分けられます。
「糖質・脂質・たんぱく質」 はどれも体内でエネルギーを産み出しますが、この中で 「たんぱく質」 は主に 「体たんぱく」 を作るために摂取される栄養素なので、エネルギーとして利用されるのは主に「糖質」と「脂質」ということになります。
「糖質」「脂質」はエネルギー源の中心となりますが、脂質ばかりでエネルギーを得ることになると、血液中のコレステロールが増加したり、酸血症のおそれも出てきます。
ですから、これらのバランスを考えた摂り方が大切です。
私たちは、活動や運動時だけでなく、じっとしている時にもエネルギーを使っています。
また、食事を摂った後、食べた食物を消化吸収して利用するためにもエネルギーが使われます。
食後12~15時間経ったのち、静かに横たわった状態で測定されたエネルギー代謝を 「基礎代謝量(BMR)」 といいます。
私たちが生きている最低の代謝エネルギー量を示します。
(成人男性で約1400kcal くらい、成人女性で約1200kcal くらい)基礎代謝量は、年齢や性・体格(筋肉量が多いほど基礎代謝は高きなります)によって異なります。
また夏には少なく冬には多くなります。 通常、私たちは活動しているので、消費されるエネルギーには活動のエネルギーが加わります。
基礎代謝はそれぞれ異なるので、同じ活動でも基礎代謝の高い人の方が活動による代謝量は高くなります。
また、食べ物を摂った後、体内で消化吸収されるためにエネルギーが使われます(特異動的作用)。
<生活活動レベル別活動内容> 資料<2005年版 日本人の栄養摂取基準」より>
身体活動レベル |
日常生活の内容 |
適正エネルギー |
低い(Ⅰ) |
生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合 |
1,400~1,600 |
普通(Ⅱ) |
座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、
あるいは通勤・買い物・家事・軽いスポーツなどのいずれかを含む場合 |
1,600~1,900 |
高い(Ⅲ) |
移動や立位の多い仕事への従事者。
あるいは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣を持っている場合 |
1,900~2,200 |
「どのくらいのエネルギーが必要か?」は、性・年齢・生活活動量によって異なるのですが、 私たちは 実際にはどれだけのエネルギー量を一日に摂ればよいのでしょうか?
健康な人が、日常に摂るエネルギー摂取量は下記に示す「2005年版 日本人の栄養摂取基準」に示された「身体活動レベル別にみた活動内容」を参考に求められます。
<エネルギーの食事摂取基準 推定エネルギー必要量>
資料<2005年版 日本人の食事摂取基準」より>
年齢 |
男性 |
女性 |
身体活動レベル |
身体活動レベル |
Ⅰ |
Ⅱ |
Ⅲ |
Ⅰ |
Ⅱ |
Ⅲ |
0~5月 |
- |
600 |
- |
- |
550 |
- |
人工栄養児 |
- |
650 |
- |
- |
600 |
- |
6~11月 |
- |
700 |
- |
- |
650 |
- |
1~2歳 |
- |
1,050 |
- |
- |
950 |
- |
3~5歳 |
.-. |
1,400 |
- |
- |
1,250 |
- |
6~7歳 |
- |
1,650 |
- |
- |
1,450 |
- |
8~9歳 |
- |
1,950 |
2,200 |
- |
1,800 |
2,000 |
10~11歳 |
- |
2,300 |
2,550 |
- |
2,150 |
2,400 |
12~14歳 |
2,350 |
2,650 |
2,950 |
2,050 |
2,300 |
2,600 |
15~17歳 |
2,350 |
2,750 |
3,150 |
1,900 |
2,200 |
2,550 |
18~29歳 |
2,300 |
2,650 |
3,050 |
1,750 |
2,050 |
2,350 |
30~49歳 |
2,250 |
2,650 |
3,050 |
1,700 |
2,000 |
2,300 |
50~69歳 |
2,050 |
2,400 |
2,750 |
1,650 |
1,950 |
2,200 |
70歳以上 |
1,600 |
1,850 |
2,100 |
1,350 |
1,550 |
1,750 |
妊婦 初期 |
- |
- |
- |
+50 |
+50 |
+50 |
中期 |
- |
- |
- |
+250 |
+250 |
+250 |
末期 |
- |
- |
- |
+500 |
+500 |
+500 |
授乳婦 |
- |
- |
- |
+450 |
+450 |
+450 |
体内でのエネルギー代謝には、重要な役割を果たしています。
糖質と脂質の代謝課程では、ビタミンB1・B2・B6・ナイアシン・パントテン酸・ビオチンが補酵素の構成成分となります。ですから、糖質を多く摂ったときにはビタミンB1
も多く摂る必要があるのです。
たんぱく質の代謝課程では ビタミンB6・B2・ナイアシンが重要な役割を担います。
必要な分だけ毎日の食事から供給されているときは過不足なく利用されますが 過剰に摂りすぎた熱量素となる栄養素は脂肪となって体内に貯蔵されることになります。
これが増えると、当然肥満を招き、それに伴って生活習慣病と言われる糖尿病・高血圧・ 高脂血症・痛風などの増加に繋がってしまいます。
食べ物が入ってこないと、まず肝臓や筋肉に貯えられたグリコーゲンをエネルギーとして利用します。
それを使い果たすと 体脂肪を燃やしてエネルギー源としますが 、これも底が尽きると今度は体を構成しているたんぱく質を燃やして燃料とすることになり、こうなると筋肉や内臓の量まで減少させることになって、これは最終的には死に繋がってしまうことを意味します。
ダイエットのリバウンドで逆に肥満が増長するのはこのためです。
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